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  • 2017.03.25 Saturday
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沖縄夏合宿

こんにちは。筑波大学野生動物研究会のクモ屋です。今回は、8月12〜16日にかけて実施された沖縄島夏合宿について報告したいと思います。既に、ゲンゴラー先輩がかなりマニアックな記事を書いていらっしゃるので、自分はもう少しマイルドな....と思いましたが、いつも通りで行かせてもらいます。

 

今回の合宿はこれまでに例を見ない大規模なものとなりました。特に1年生は参加人数が多く、メンバーも皆活動的で、沖縄の自然を十分に楽しんでくれているようでした。驚くべきことは、クモ屋である私以外のメンバーが、希少種とよばれる種や、私が採集できなかった種を確認もしくは採集してくれていたことでした。これだけ多くの方がクモに目を光らせていたのなら、あらかじめ観察ガイドを作成、配布しておけばよかったなあ、と後になって後悔しています。

 

では、沖縄で出会った素敵な生き物たちについて紹介していきます。

 

1日目


この日は、「集落のアパート脇の空き地に積まれた藁」から攻め始めました。ここでは、まず初めに「ヨシダサヤヒメグモ」というクモを発見しました。

【ヨシダサヤヒメグモ♀】

本州では見られない南方系種です。卵嚢をかかえて保護しているようすでした。小さいながらも、非常に美しいクモですね。

 

続いて、藁下から飛び出してきたのはハエトリグモ科の不明種です。

【ハエトリグモ科の一種♂】

雄の成体のようでした。黒色の地と白毛のコントラストが美しいですね。詳しい方に確認をとったところ、「既に存在は認知されているがまだ記載・記録されていないので不明種扱い」のクモだそうです。沖縄ではそのようなクモがごろごろ見つかります。

 

夜には、ライトトラップをやるというのでダムへと向かいました。その周辺の渓流を散策してみると、

オキナワカワリアシダカグモやリュウキュウコアシダカグモ、オオハシリグモ、ケアシハエトリ、ヒゲナガハシリグモといった沖縄らしいクモから、アシダカグモ、ヤマジドヨウグモといった本州にも普通に分布しているクモまで、さまざまな種が確認できました。ケアシハエトリとヒゲナガハシリグモは卵嚢を保護していたため、卵嚢の形態を詳細に観察することができました。

 

 

2日目


 

この日は、林道脇の渓流から攻め始め、まずはヤンバルキムラグモを観察しました。「腹部に体節の痕跡をとどめる、生きた化石」として有名なクモです。

その後は、車窓から見える景色や生き物を楽しみながら林道を車でひたすら進んでいきました。オオジョロウグモやコガタコガネグモ、ナガマルコガネグモ、スズミグモは大型の網を張るので、車から降りずとも確認できました。

さて、山の中にかかる橋の欄干で、ヤセゴミグモというクモを見つけました。

【ヤセゴミグモ♀】

ゴミグモの仲間は、網の中央に脱皮殻や食べかすを貼り付け、自身がそこに隠れることで擬態を成立させています。

図鑑によるとヤセゴミグモは樹木の幹に網を張る、とされているので、偶然見つけやすい場所に網を張っていた個体がいたのは、運が良かったかもしれません。

 

林道脇のリターからは、カンムリグモを採集することができました。

【カンムリグモ♀】


カンムリグモは南西諸島に分布し、エンコウグモ科に属します。あまり聞きなれない科かもしれませんが、眼の配列が非常に特徴的なグループです。渓流脇の湿ったリターから大量に得られました。

模様もなく地味なクモですが、透き通った感じが美しいと思います。ちなみに雄の成体は触肢が大きく、物凄く格好良いのですが、今回は雌しか確認できませんでした。

 

3日目


 

この日は、せっかくの沖縄ということで砂浜へ。どうせスナハラコモリグモしかいないんだろうなあ、と思いながら砂浜を散策すると、海浜性つる性植物の間を飛び回るハエトリグモが。それは、ウデボソハエトリという、近年になって日本でも記録された種でした。

【ウデボソハエトリ♀♂】

ウデボソハエトリは雌雄が確認できました。雄は雌よりも第一脚が長く、体色も黒っぽいので容易に識別できますね。

 

午後には山中の林道へ。ここでも様々なクモに出会うことができました。オキナワホウシグモ、オオクマアメイロハエトリ、ガケジグモの一種(不明種)、オキナワウズグモ、ヒゲナガヤリグモ、ササキグモなどなど。また、林床を飛び跳ねていた小さなハエトリグモが、「存在は認識されているが未だ不明種扱い」の種であると分かりました。小さなハエトリグモですが色彩や体格が大人っぽく、採集してみたところ雄の成体でした。

 

夜にはライトトラップをやるというダムへ移動。付近の林道を散策してみたところ、ここでも、「ハエトリグモ科の不明種」を発見しました。どうやら、先ほど発見した個体のつがい(雌)のようです。

他にも、ネッタイコモリグモやヤマネコウラシマグモ、大きなアゲハ類を捕食中のオキナワアズチグモなどが観察できました。

 

4日目


 

この日は、まずマングローブ林へ。アジアミカドハエトリの雄を観察することができ満足。

【アジアミカドハエトリ♂】

続いて、林道脇の渓流を攻め始めると、ここでは不明種とされるナミハグモ科の一種を発見。崖の窪みなどに管状の住居をつくり、巣の表面を砂粒で覆っているうえに、巣の奥が岩の隙間などに繋がっているので、採集が難しいクモのひとつです。

 

渓流脇のヘゴに、ケナガサラグモの巣を発見しました。テント状の巣の裏側にクモが見えます。

【ケナガサラグモの巣】

これが巣の主。青紫色の体に長毛が生えるのが特徴的ですね。半透明の歩脚も繊細で美しいです。

【ケナガサラグモ♀成体】

 

 

この日は、山の中をドライブした後、海辺の「漁師食堂」で海鮮丼やカマストガリザメのフライをいただきました。サメを食べるのは人生初でしたが、予想以上のおいしさに感動。お店のテラスにはトガリザメの尾びれが展示してありました。沈む夕日を背に記念撮影して全日程は終了。

 


さて、今回の合宿で観察できたクモ類は74種に及びました。

既にお気づきの方が多いと思いますが、ハエトリグモの仲間が多く観察されています(15種)。ハエトリグモ科は世界に5000種も知られる、クモ目中最大のグループといわれており、しかも熱帯地域で著しい種多様性を示しています。また、目につきやすいところを活発に歩き回る昼行性種であること、若手の分類学者がおりネット上にも最新の分類情報が公開されていることなどが、今回の結果に結びついたのかもしれません。

一方、ハエトリグモ科に次ぐ巨大なグループとしてサラグモ科(世界に約4400種)がありますが、こちらはケナガサラグモを含む2種しか確認できませんでした。サラグモ科は温帯から寒帯にかけて(つまり、主に北半球で)多様化したグループであると考えられており、多くの種が微小であることから、亜熱帯性の沖縄本島では大した種数が確認できなかったのでしょう。また、この分類群には若手の研究者がおらず、未記載、未記録種は膨大にいると予想されているため、本州に比べて種数が少ない沖縄ですら、サラグモ相の解明にはまだ時間を要するのかもしれません。

 

また、記録された種のうち、私以外メンバーが確認および採集してくれた種で特筆すべきものは、

オキナワキムラグモ(南部へ行く必要あり)

コケオニグモ(稀少種)

ヘリジロハシリグモ(雄成体)

オオハシリグモ(雄成体)

カトウツケオグモ(稀少種)

トカラハエトリ(海辺の植物上などに多いらしい)

などでしょうか。

私の予想以上に多くの方がクモを観察していたことに驚きました。

メンバーの中には私とともにクモ採集に行くようなツワモノもいますが、そのような経験がない方も、良きクモを採集していたりします。来年の合宿がどこになるか分かりませんが、皆さんにはこの調子で頑張っていただきたいですね←

 


最後に、本合宿の企画、運営、安全管理、車の運転等に尽力してくださった先輩や同級生に感謝申し上げます。自分は大して協力できませんでしたが、皆さんの活動の様子はしっかり目に焼き付けております。

来年の合宿も、ぜひ成功させましょう。

 それでは。

 

 

 

 

 



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